BBの情報が書籍やネットで氾濫しています。ポット栽培、地植え栽培を実践していると一般に常識となっていることに何故と思うことがいっぱいあります。それを疑うこと無く、多くの方が当たり前のように書かれたり言ったりしています。そんなことに疑問に思っていることを昨年は『常識は非常識』で紹介しました。
今年は『常識はWhy』シリーズで紹介しています。
『常識はWhy?No.6』《BBを育てるのは肥料?》
<土壌の中で一番重い(生体量)生き物は?>
林間の倒木が朽ちているように見えますが、8年前にBB園の中に置いた長さ50㎝ほど、径40㎝ほどの丸太です。もうボロボロになって三つに別れています。
退職して観光農園を始めようとした1年目です。毎日、日曜日ですので森林組合でバークを軽トラに載せてもらいBB園の中へ入れていました。園の中でバークを広げていたところ、丸太が入っており、重くて持ち上げることができずに外へ運び出せません。BBの株間に転がしておきました。もうボロボロです。
林間の倒木のように糸状菌(腐朽菌)のエサとなって食べられている様子ですね。
土壌の中で生息している生物はどんな種類がいて量(重さ)はどのくらいでしょうか。
<土壌の生体量>
2004年 神戸大学大学院農学研究科教授 阿江 教治 氏
細菌(バクテリア)‥‥ 40~500 ㎏/10a
放線菌 ‥‥ 40~500 ㎏/10a
糸状菌 ‥‥ 100~1500㎏/10a
藻類 ‥‥ 1~50 ㎏/10a
線虫 ‥‥ 1~15 ㎏/10a
ミミズ ‥‥ 10~150 ㎏/10a
土壌の中では、何万、何十万という種がせめぎ合い、繁栄と生き残りをかけています。それは種の共存と拮抗のバランスでなりたち、多様性を保つことで良好な環境となりますね。
このせめぎ合いを取り出しても面白いですが、別の機会で紹介します。
土壌の中には他の種とは桁違いの糸状菌が生息してビックリです。10aですから1反の畑にタヌキだったら何匹いることになるのでしょうか。これだけの生体量(重さ)がグチャグチャといるわけです。
BBと共生している「菌根菌」も糸状菌の仲間です。BBの根があると菌根菌が根からご褒美をもらえるので菌根菌がもっともっと繁栄し、BBもご褒美をもらい根を張り出していくことができますね。糸状菌は好気性ですので、空気が大好き! 地面近くの表面に根を張る理屈が見えてきますね。
この先生の報告にもありますように、この糸状菌は生体量にかなりの幅があります。桁違いの差ですね。菌根菌=糸状菌を繁栄させるにはどうしたらいいかという疑問が出てきます。
3連休で助っ人が来たので、私では力不足で、大株を引き抜いてもらい、別の品種に植え替えました。3株だけでしたので、ユンボを出さずに人力で助っ人に抜いてもらいました。
根は途中で切れてしまったのですが、ビッシリとHair Root(まだ和訳されていません)が見えます。木材チップやコーヒーかすが分解して土のようになったところへ根を張り巡らしていました。
菌根菌=糸状菌を繁栄させるには、有機物のエサを入れることだと思います。当園では、この考えで取り組んでおり、BBが元気に育っています。育ち過ぎて、剪定がたいへんです。
上2枚が剪定前、下が剪定後です。<NH系ブルーレイ>
硫黄粉やピートモスを入れて酸性土壌にしなくても、油粕や硫安などの肥料をやらなくても、水を一滴もやらなくても、糸状菌=菌根菌を育てることでBBは元気に育っています。でもバランスが崩れると糸状菌は死んで放線菌、細菌(バクテリア)のエサとなってしまいます。化学物質(農薬)を入れない等、環境を整えることを大事にしています。
これが当園の自然栽培です。