安曇野の丘村山ブルーベリー園 カブトムシ捕りひまわり迷路がある自然農園

長野県安曇野市にある、自然の仕組みを活かした摘み取り専門観光農園です。完全無農薬、硫黄粉や有機・化学肥料を使わず、自然栽培と品質にこだわって栽培しています。時間無制限・食べ放題で透明感のある酸と糖のバランスある人気品種のハイブッシュ系、糖が際立っているラビットアイ系の自然な味が楽しめます。農園内で自然発生したカブトムシ捕り、ひまわり迷路もご家族で楽しめる自然栽培農園です。  長野県安曇野市穂高有明7657ー1   ℡090-8326-2128  googlemap「安曇野の丘」

『常識は非常識No.6』 何故ピートモスを入れるの? No.2

寒気の張り出しが以外に弱く、南岸低気圧の通過でしたが予報よりも少ない雪でよかったです。厳寒期の雨ですから信じられないくらい暖かい冬で、やはり異常気象かな。本日は骨休みの一日でした。

 

<常識は非常識>何故肥料をやるの? 何故ピートモスを入れるの?

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第2農園のチャンドラーです。2年生苗を植えてから硫安や油かすなど肥料は一滴も入れていません。こんなに自然な育ちをしてくれるのですから、肥料を入れて育てるという常識は非常識であるとこの頃は確信しています。
農業を科学してざっくりと書きます。

【土壌中】 土壌微生物《細菌、放線菌、糸状菌、藻類》、土壌動物《線虫、ミミズ》  

土壌微生物で糸状菌が桁違いに多く生体量で100~1,500㎏/10aと言われています。ブルーベリーと共生しているエリコイド菌根菌は糸状菌の仲間です。

【土壌中の生物の働き】 それぞれのステージで分解を行う。

有機物→タンパク質→タンパク質様窒素(PEON)→アミノ態窒素→

                      →アンモニア態窒素→硝酸態窒素

作物の多くはアンモニア態・硝酸態の無機態窒素で根から吸収されます。これが現代農業の基礎です。アンモンニア態・硝酸態は科学肥料であろうと有機肥料であろうと同じ化学式のアンモニア・硝酸ですね。

この基礎原理を使ったのがブルーベリーの養液栽培です。水耕栽培で酸性にしてアンモニア態窒素の吸収が良いことを応用して、酸性液とアンモニア態窒素養液を混ぜて育てる方法です。これは知恵者が考えた栽培方法ですね。畑に硫黄をまいて酸性にして、硫安や油かすで育てるのもこの基礎原理の応用です。油かすは有機だから安全だ、美味しいというイメージが消費者に持たれているのですが科学的にはアンモニア態窒素を吸収させているのですね。これが現代農業です。この栽培方法が常識となっています。私はブルーベリーは共生関係で生きている植物であると捉えており、これは非常識だと思っています。現代農業に反発しています。

 

近年の研究からタンパク質様窒素(PEON)が直接根で吸収されている事例が報告され研究されています。ニンジン・チンゲンサイ・ホウレンソウなどは古の人たちから経験で「冬作物には堆肥が肥く」と言われてきたことが科学が後付したことで、詳しくは省きますが、前述の矢印の無機態窒素まで分解されずに途中で、いわゆるショートカットして微生物が分解される前のタンパク質態、アミノ態で根が吸収していることが分かります。これはブルーベリーの共生関係で糸状菌から栄養をもらっていることと同じことです。

 

ここまで書いてくるとピーンとくるものがあると思います。酸性土壌にしなくてもできるのではないかと。糸状菌が活性化すればいいのではないかと。硫黄をまかなくても、ピートモスを使わなくてもできるのではないかと。元来原生地では硫黄はまいていません。地質によって植生が変わることはよく知られていますが、国内の植物生理学を研究している方からの話ではスノキ属が石灰岩質でも分布しているとのことから酸性土壌云々は??と思うようになりました。硫安や油かすの肥料を与えられずに、何百年、何千年と降り積もった森の有機物で育っているのですから。森のように有機物を入れて多様性ある生物相を作ればいいのではないかと。この仮説の下に北部ハイブッシュ系の第2、3、4、5農園と作りました。さらにラビットアイ系の第6、7、8農園と作り、今年度よりラビットアイ系も本格的な営業をしようとしております。ポットでもできないかと試行して第9農園を作りました。

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これは農園を始める前に硬盤を壊す意味で深く掘っているときの写真です。今思うと全く有機物が含まれていない川の砂、荒れ地の土です。これでは森どころか畑にもなりません。大量の有機物の投与が必要ですね。森の堆積物が1年で1㎜としても100年で10㎝、1000年で1mです。この勢いで有機物を入れないとブルーベリーの住む森にはなりません。土壌の有機物の投入後の変化についてはいろいろな書籍に出ています。安く、作業性が良いこと、手に入るものと考えて籾殻、コーヒーかす、木材チップとなりました。育ててみると何の問題もありません。自然の仕組みで育っています。これが当園の常識となっています。

 

ブルーベリーは、根がアンモニア態窒素・硝酸態窒素を吸収できるが糸状菌の仲間と共生関係にあり科学肥料・有機肥料は必要としません。硝酸態窒素を吸収した作物体内の硝酸塩については次回の「常識は非常識」で述べます。一番大事な硝酸塩まで今回もいきませんでした。