ホウキのようなブルーゴールドの剪定が終わりました。植えて2、3年過ぎてチップを運んでいるとき、端にあるこの株を運搬車で踏んづけてしまいました。そのときからホウキのようにシュートが出ていました。クローラーでバタバタと潰してしまったのですが、このシュートは折れもしません。しなるシュートです。復活してこんなに大きくなりました。少しぐらいのことは大丈夫ですね。
『常識は非常識』ピートモスは窒素飢餓を起こさないの?
ブルーベリー農園を始めるときにいろいろ調べたのですが、分からないことが一点ありました。書籍を読んでも何一つ書いてありません。ハイブッシュを栽培するにはピートモス、硫黄粉がセットで油カス、硫安が『常識』です。ピートモスのCN比が52ですから、窒素飢餓は起こらないのかとの疑問でした。畑に生の籾殻を入れると窒素飢餓を起こすことは農家の常識になっています。何故ピートモスは窒素飢餓を起こさないのかと疑問に思っていたのですが、本格的に栽培することは初めてのことですから、教科書に載っている通りにピートモスを使いました。
ポットの半分ほど籾殻を入れて育てていたブルーベリーを植え替えたとき、籾殻の中に白い細い根が回っているのを見たとき、あれれれと思いました。窒素飢餓を起こさないのかなと。農協の指導員に「ブルーベリーを植えるときに籾殻を入れるのはどうですか」と聞くと「窒素飢餓を起こしかねない」との返答で益々?????となりました。
いろいろ調べてみると能登で木材チップを水田に1mほど積んでブルーベリーを育てていること、松本で水田に1mほど木材チップを積んで育てている方(今は友人となって行き来して談義しています)、カナダで挿し木をするときの培地にノコギリ屑をつかっていること‥‥窒素飢餓云々よりもCN比の高い物が育てると考えるようになりました。窒素飢餓を起こすのはCN比20~30が目安と言われていますが、ブルーベリー栽培には関係なく、現代農業の常識では考えられない仕組みがあるのではないかと、考えるようになりました。
調べていくと糸状菌の中の菌根菌が育てていることが分かりました。それならCN比の高い木材チップで北部ハイブッシュが育つのではないかと、仮説を立てました。松本で育てている畑も見せていただき、自分でもやってみることにしました。
今の第4、6、7、8農園に畦シート3枚を丸めて木材チップを入れて、ここへ北部ハイブッシュを植えました。結論からいうと「失敗」でした。育つのですがチップの補給と水をやらないと育ちが悪いことが分かりました。枯れることはないのですが。単身赴任中ですので時間がなくて灌水ができず、チップの補充もできず、全部植え替えました。植えたときの写真もなく育ちの写真もありません。でもブルーベリーは糸状菌が育てると確信しました。
そこで次の仮説は、有機物をたくさん入れて1.2~1.5mと深耕し、ピートモス・硫黄粉も入れずに苗を植えるという糸状菌一本の栽培方法です。農協の指導員から窒素飢餓の恐れがあるという籾殻とコーヒーカスを山ほど入れて、ユンボで掘り起こし、木材チップを山ほど入れて苗を植えました。これが第5農園です。菌根菌が活性化する栽培方法ですね。植えて今年で5年になるのですが、育ちはいいですよ。自然な育ちを見せています。有機物に取り付いた微生物が活性化すると土壌の窒素を微生物が取ってしまって植物の根が吸収できなくなって窒素飢餓を起こすという「常識」がブルーベリーにとっては「非常識」であると思います。それは糸状菌である菌根菌が共生関係だからですね。微生物が生の有機物を分解し菌根菌がアンモニア態窒素まで分解される前に、ブルーベリーの根とやり取りし栄養を送るという共生関係だからですね。
この方法でラビットアイ系の第6、7、8農園とやっていますが、とってもいいですね。第6、7農園は、今年から本格的営業が出来るまでに成長しました。
今回も硝酸塩について書けませんでした。次回には書きたいですね。