BBの情報が書籍やネットで氾濫しています。ポット栽培、地植え栽培を実践していると一般に常識となっていることに何故と思うことがいっぱいあります。それを疑うこと無く、多くの方が当たり前のように書かれたり言ったりしています。そんなことに疑問に思っていることを昨年は『常識は非常識』で紹介しました。
今年は『常識はWhy』シリーズで紹介しています。
『常識はWhy?No.10』《BBは酸性土壌? No.2》
《BBは酸性土壌? No.1》の続きです。
十数年前、営業栽培をしようと水田を転換してBB農園を作り始めました。
第1農園(NH系)は、常識を真に受けて教科書通りにピートモス、硫黄粉を入れて作りました。これが最善だと思っていました。
今、思うと、何で、お金もかかり手間もかかり、いったいなんだったんだろうと思います。
<自分で考えて試行錯誤>
No.1で紹介した当園の第3農園です。元気一杯です。
今から十年ほど前のことです。仕事が忙しくて、硫黄粉を撒く時間もありません、ピートモスを粉にする時間もありません。ユンボで深耕したあと、木材チップを何台も入れてユンボで平らにし、30㎝くらい入れたでしょうか。水田転換で硫黄粉を使わずにピートモスは一握り1ℓくらい、2年苗の根の周りを包んでチップの中へ植えた程度です。
2011年に植えたのですね、2年苗を植えたときです。
ホースが写っているところをみると、植えたときに水を撒いたのですね。もう忘れてしまいました。以後は、散水もせず、もちろん肥料も入れずに、何もせずに、お正月の剪定だけでした。とにかく仕事が忙しくて、草刈りもせずに何も手を入れませんでした。何もせずに育っているのには、あれれれ、感動ですよ。
あれれ、酸性土壌にしないと育たない??? に疑問を持ちました。
いろいろと調べていくと、糸状菌の仲間の菌根菌がBBの根と共生関係にあることが分かりました。糸状菌は好気性ですので、チップを40㎝以上に積んで、その中でも育つのではないかと考えるようになりました。
それなら水田にそのままチップを積み上げ、ここへ2年苗を植えました。単身赴任中で忙しい中でしたが、糸状菌一本で育ててみました。
結果は失敗でした。
枯れることはなく育つのですが、チップの補充と灌水が必要です。そんな時間がなくそのままにしていました。
水田の粘土層、堅盤はそのままの上にチップですので、フライパンの上にチップを盛り植えたのですから無理があります。HairRootは横にも下にも伸ばしていく空間があるとより育つことが分かりました。
BBの育ちには、エサとなる有機物によって糸状菌が繁殖し、深さ<空気が通る深さ>があればHairRootを伸ばしていくと考えました。簡単にいうと<エサ(CN比の高い有機物)>と<空気>で<菌根菌が活性化>と考えました。
退職後は毎日が日曜日で、時間はいっぱいあります。そこで、有機物を入れ空気が通るように深耕し、チップを被せると非常に育ちがいいことが分かりました。
コーヒーかすを多量に入れて深耕し、1年苗(自分で挿し木したもの)を植えマルチをしたところ、非常に育ちがいいことが分かりました。大きく育った苗を第5農園へ植えました。
この考え方で植えたのが、第4、5農園です。
今年、剪定が終わった第5農園(NH系)です。何の問題もなく今年は更に花芽が多く収穫量も多くなりそうです。この第5農園は水田転換で、ユンボで有機物を入れて深耕したところへ苗を植え無施肥栽培で今日に至っています。
深耕は水はけがよくなり、空気が通るので菌根菌(糸状菌)を活性化しています。これが第一であり、酸性土壌は関係ないと考えます。そう考えないと第5農園の育ちの説明がつきません。
ザックリと記録がないので記憶だけで書きましたので、前後したところもあるかもしれません。
<最初に戻って>
「BBは酸性土壌にして栽培、肥料は‥‥」
と書かれてたり言われたりしています。その理由を探ると
「BBはアンモニア態窒素を吸収するから酸性だと硝酸態窒素に変化しにくいから????」
「BBの潜在力を引き出すから????」
「原種は酸性土壌で生息し日本にはこのような土壌がないから????」
他‥‥‥
硫黄粉等を入れ酸性土壌にしたり養液栽培の酸性の理由はこのように書かれていることが多いです。
趣味で栽培し営業栽培をしようと水田を転換して植え始めた頃は、この『常識』を真に受けて土壌を酸性にしなければいけないと取り組んでいました。
退職後に本格的に調べ、実践していくと違うことが分かりました。
営業栽培を始めて十数年実践を積んできて、酸性土壌にするというのは、書籍やネット、米国の農業試験場のデータの和訳等からすり込まれていたと思います。酸性土壌と肥料(アンモニア態窒素)とがセットで成績がよいとデータから示されて、このようになったのかな。
BBを育てるのは、好気性の菌根菌である。
と確信を持っています。これが土壌中の生物との共生関係で育てる自然栽培ですね。
ポット栽培は酸性用土と肥料(アンモニア態窒素等)が常識となっています。菌根菌を活性化することで栽培できないかと挑戦中です。
人生は、新たな事への挑戦です。この道の先には何があるか、ワクワクですね。